奈良県生駒市の長女殺害事件(2009)

2009年7月30日奈良県生駒市東旭ケ丘で父親の菅野一夫(56)が広汎性発達障害の長女(当時20歳)を絞殺した事件。広汎性発達障害によるかんしゃくで長女は日常的に激しい暴力があり、耐えかねた父親が絞殺した。

「このままでは家族みんなが不幸になる。殺すしかない」と考えた末の犯行であったという(毎日新聞 2010年3月24日)*1

日常的に長女から暴力を受けていたようである。

十一(といち)元三教授は「広汎性発達障害をベースにした双極性障害」と診断している(奈良日日新聞 2010年3月25日)。

おそらく、双極性障害だと断言できる材料があったわけではなく、かんしゃくを双極性障害と捉えるか単極性障害として捉えるかという議論の中で、双極性障害と捉えるという十一先生の考え方が示されたに過ぎないと考えられる。

アメリカでは小児の双極性障害が診断されすぎたことから、DSM-5では重篤気分調節症Disruptive Mood Dysregulation Disorder(Wikipedia)(DSM-5診断基準)という診断名が新たに設置された。現在では、気分障害であれば単極性、つまりDMDDと捉え、むやみに双極性障害と診断しないことなっている。

しかし、DMDDのJ基準で「これらの行動は,うつ病のエピソード中にのみ起こるものではなく,また,他の精神疾患〔例:自閉スペクトラム症心的外傷後ストレス障害,分離不安症,持続性抑うつ障害(気分変調症)〕ではうまく説明されない.」とあるため、双極性障害なのか、重篤気分調節症なのかといった議論よりも、自閉スペクトラム症に由来するかんしゃくとするのが現在の標準的な診断である。

*1:裁判員裁判:長女絞殺 殺意の有無どう判断 被告、起訴内容否認--初公判 /奈良」